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『ぼくは猟師になった』で、狩猟に再び光が当たるきっかけを作った千松信也さんの新刊が出ました。今回の『けもの道の歩き方』(リトルモア刊・1600円+税)は、罠猟師の目から見た自然の話です。
近年の「狩猟やろうぜ!」というブームの火つけ役のおひとりではありますが、ご本人自身は、そんな気負いはまったくありません。

前作もそうでしたが、生々しいことも、重いことも、楽しいことも、さらりと書く人です。軽いエッセイなのかというとそうでもなく、淡々とした中に、非常に深い問題提起がいくつも投げかけられています。

たとえば、ブナ科の大木を立ち枯れさせてしまうナラ枯れ病の広がりが問題化しています。千松さんは、そもそも虫に枯らされることは悪いことなのだろうかと問います。
かつてナラ枯れがないように見えたのは、壮年木のうちに伐採して利用されていたからではないのか。つまり人が森の新陳代謝をはかっていたから目立たなかったのであって、いまナラ枯れが顕著なのは、切らずに老化するまで放置してきた結果ではないか。木を使わなくなっていることに問題の本質があるのではといいます。

千松さんは、数年前からニホンミツバチを飼うようになりました。今まで何の役にも立たない木だと思っていたカラスザンショウに蜂が盛んに訪花する様子を目の当たりにして、森という存在の見方が大きく変わったといいます。
「いろんな生き物のつながりを意識して、実際に森に入って暮らしてみないとわかたないことはたくさんある。動物の命を奪ったり、木を切ったりすることは自然を壊しているようにも思えるかもしれないが、僕は本当に自然を破壊するのは、森とのかかわりもないままに自然保護だ管理だといっている人たちだと思っている」

今の狩猟を取り巻く、ちょっと過熱気味の昂揚感にもひと事モノ申しています。
「動物をさばけるからといって偉いわけではないし、猟師だけが命の大切さを知っているわけでもない。狩猟の素晴らしさばかりが強調される昨今の風潮はちょっと気持ちが悪い」

スパイスがほどよく効いた端麗な文章。それがこの狩猟本の味です。

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