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fbで知り合った佐渡のHさんからいただいていた『佐渡の釣り今昔』(中堀均著・私家版)。ようやくまとめ読みできました。

著者は地元生まれで小木の民俗博物館に勤めていた方だそうです。博物学者の視点から地元の職漁や遊漁について書き綴ったもので、住民と同じ目線の、平明で素朴な書き方に好感が持てます。

学術的な記録では往々にしてそぎ落とされてしまう「こく」と「雑味」にあふれています。なにより貴重なのは、同じ時代に生きた人だけが書ける民俗証言であること。
釣りや網の糸が麻だった時代、漁師の最も大切な仕事は糸をよく干し、腐らないようにすることだったという話など、今では想像もつかないことです。
予想以上の内容の濃さでした。

佐渡ではイシナギをオオイヨという。オオイヨが釣れだす6月頃に割くホタルブクロは、オオイヨ花と呼ばれる。大きなものだと200㎏を超えるイシナギを釣るためのハリは、鍛冶屋に注文する人が多かったが、火箸などで自分で作る人もいた。

佐渡は桐箪笥の産地として知られたが、箪笥には使えない端材は、網を浮かすアバ(浮木)やイカ釣りの疑似餌に使われた。

アラの1本釣りが盛んだった時代、どの家にも「山あて帳」があり、それぞれ自分しかわからない記号で釣れた場所を丹念に記帳していた。

秋のアブラメ(クジメ)は焼き干しにするとすばらしいだしが出て、とろろいものだしはアブラメに限るという人がいる。

タコさすり(タコ釣り)は上手な人になると鍋に火を付けてからとりに出る。湯が沸き上がる頃には捕まえてくる自信があるからである。

こんな魅力的な記述がいっぱい。佐渡の潮風を吸いに行きたくなりました。

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