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『モリさんの狩猟生活』が刷り上がってきました!
先日予告させていただいた
「いくら鉄砲がよくてもクマは獲れねえ。
クマはな、度胸で獲るんさ」
というキャッチコピーは、本の帯ではなく表紙の見返し部分のものでした。
(すみません)

関東最後の秘境、奥利根で40年にわたってクマ撃ちを続けてきた、モリさんこと高柳盛芳さんの聞き書きです。

もう20年になるお付き合いですが、ハンターとして自然を見る眼の鋭さに、いつも敬服しています。最初に聞き書きを刊行したのは15年前。そしてその15年で、モリさんのクマに対する知見はさらに深みを増していました。

狩猟はアウトドアの最高峰だと思います。とりわけ銃猟、なかでも感覚を極限まで研ぎ澄まし、クマが残したわずかな痕跡から行動を推理、たったひとりで追い詰めていく「しのび猟」は、話を聞くだけでもスリリングです。

はじめてクマと出会ったときの恐怖。奥利根に伝わる豪傑伝説。190㎏もある雄グマを3年がかりで追い、ついには仕留める話…。

クマは臆病なほど警戒心が強いにも関わらず、壊的な力を持つ本州最強の野生動物です。しかも機敏で、少しでも狙いが外れれば弾が当たっても倒れず、すさまじい形相と勢いで挑戦者に向かってきます。
手負いのクマを追跡すると、止め足というトリックを使い、待ち伏せしていることもあります。

死をも覚悟した駆け引きから伝わる、クマという動物に対する畏怖と深い尊敬。その言葉からは、ハンティングのメンタリティーがありありと浮かび上がります。

現代版炉辺夜話といった趣の内容ですが、クマ猟は、もはや趣味・娯楽の話で終わらせることができないほどの社会性を帯びています。

近年、クマが人の生活圏に出没し、人的な被害を引き起こす例が相次いで起こっています。「クマが増えた」と言われますが、それはほんとうなのか?

この本のもうひとつの目玉は、クマ撃ちのモリさんと、ツキノワグマ研究の第一人者で東京農業大学教授の山﨑晃司さんとの対談です。

そこで読者は、クマという野生動物の知られざる素顔や、置かれている現状をあらためて知らされることになります。
一方的に悪さをしているわけでも、危ないから、増えているから駆除してかまわないといえるような動物でもないことが理解できるでしょう。

クマという動物とどう接するか。それはすなわち、社会の自然観の成熟度を示しています。

続く章では、釣りや山菜、キノコ採り、刃物の使い方などにも言及していますが、これらも野生の感覚を磨く楽しみです。

10月12日から店頭に配本され、アマゾンなどのネット通販では15日頃から発送の予定です。223ページ。カラー口絵あり。値段は1600円+税。山と渓谷社から発売です。
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二本の担当連載はくしくも刃物(うち一本はそのものズバリ『刃物語』ですが・笑)
ルーラルで行こう!は、岐阜県立森林文化アカデミーと、刃物の街として知られる岐阜県関市の共同開発で誕生した子供用ポケットナイフ『morinocoナイフ』に込められた思いを紹介しています。
『刃物語』は、宮城県雄勝湾の牡蠣漁師が船上に常備している「マギリ」を採り上げました。いわゆるマキリですが、調べれば調べるほど面白い刃物です。
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担当『ブックレビュー』は
『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』(奥野克巳著・亜紀書房)というやたらタイトルの長い本。これ、掛け値なしに面白いです! 著者は立教大の先生でした。資本主義というのはきわめて原始的なシステムだということに気づかされます。
その他の紹介本
『戦後ゼロ年東京ブラックホール』(貴志謙介著・NHK出版)
『熱海の軌跡』(市来広一郎著・東洋経済新報社)
『歌と曲に隠された物語 昭和歌謡の謎』(合田道人著・祥伝社)